開設の言葉 

センター長、昭和医科大学客員教授  岩波 明 


こいしかわ発達障害センターの開設にあたり、ご挨拶させて頂きます。

 

近年、発達障害、特に成人期の発達障害に関して、強い関心が持たれるようになってきています。このことは、医療や心理関連の領域にとどまらず、教育機関あるいは職場において避けられない課題となっています。

 

かつて児童や思春期の疾患と考えられていた発達障害は、成人になっても症状が持続することが明らかになり、教育や行政、職場における対応が求められています。さらに、メディアにおける報道もさかんに行われています。

 

このような「流行」の背景には、発達障害と関連する様々な社会的な問題が先鋭化していることがあると考えられます。学校におけるいじめや不登校の問題は、多くの対策をとっているにもかかわらず、近年むしろ深刻化しています。また不登校からの引きこもりについても、解決には程遠いのが現状です。さらに就労の現場においては、職場の管理化の進行とともに、従業員に対する要求度の高まり、発達障害の特性を持つ個人が不適応に至るケースが増加しています。また個人の生活場面においては、家族内の対立や確執が発達障害を原因とすることもしばしばみられています。

 

発達障害とは生まれながら脳機能の偏りがみられる疾患の総称であり、疾患ごとに様々な特性を示しますが、疾患というよりも「特性」と考えるのが適切なケースが少なくありません。発達障害の代表的な疾患としては、ASD(自閉症スペクトラム障害)とADHD(注意欠如多動性障害)があげられます。

 

こうした背景の中で、本センターは、発達障害に関する相談業務およびグループワークを担当する予定です。相談業務としては、学生における不登校、引きこもり、社会人における職場の不適応、家族間におけるトラブルなどが主要な内容となります。また将来的には、当事者によるグループワークを開設する予定にしています。当センターが、発達障害を持つ当事者あるいはご家族にとって役立つものとなることを心より願っています。

 

ご挨拶

公益財団法人慈愛会 理事長  今村 英仁 


こいしかわ発達障害センターの母体は、公益財団法人慈愛会です。この法人の本拠地は鹿児島に位置します。昭和9年創設以来、鹿児島県民の命と健康を守ることを目的に県内で複数の医療機関(5病院、5クリニック)を運営しています。その中で、世界遺産にも登録された奄美大島と徳之島で離島精神科医療を提供しているのが特徴の一つです。

 

これからの発達障害のケアについては、医療モデル・福祉モデル・社会モデル等のバランスを考えることが非常に大事になってくると考えます。こいしかわ発達障害センターは、“ 大都市 東京 ” と “ 癒しの島 奄美大島・徳之島 ” を結び、発達障害のDEI(Diversity[多様性]・Equity[公平性]・Inclusion[包括性])を目指します。